所得税における課題
所得税における課題を解決するためにできたのが源泉徴収です。所得税というのは「個人の利益に対する国の税金」ですが、各人が自分の利益を集計して、税金も計算し、納税するのが日本で採用されている「申告納税方式」です。
しかしながら、全国民がこの「申告納税方式」で納税を行うためには、いくつかの条件があります。ひとつは対応時間です。国民全員が納税するための申告書を税務署に提出して、税務署員がその手続きに対応するというのでは時間が相当かかってしまいます。
そして、適切に納税を行うということについても課題になります。税制というのは詳細が多岐にわたっており、いろいろな改正も加えられています。それを国民全員が正しく理解しているかどうかです。実際に、計算ミスによる所得税の払い過ぎや不足、申告漏れなどがどんどん発生してしまうでしょう。更に、国からの観点で言えば、安定的な税収の確保という課題もあります。
所得税は、原則的には、その年の1月~12月の利益を計算して、翌年の1縲・月に納税するようになっています。つまり、その他の期間については、国には税収の確保と言う点で希薄になるのです。さあ、ここまで書くと、会社員に源泉徴収という制度が適用された目的がわかってきたと思います。